笑うことについて
中学時代の教師にすこし変わった人物がいた。
授業で丸々映画を観たり、テキストにマンガやアニメのキャラクターを起用したり、変なニックネームを使ったりと、すこし不真面目なイメージが親近感を呼び、随分と生徒に人気があった。自分はもう少し真面目にやってくれないかな…とクソ優等生ぶっていた。
ある日、授業内で映画を観ることがあった。
もちろん洋画で、『俺たちフィギュアスケーター』*1『ジュマンジ』*2と言ったラインナップだった。
なかなかのチョイスである。確か他の候補だと『バタフライ・エフェクト』*3とかもあったと思う。
その日は『ナイト ミュージアム』だった。
『ナイト ミュージアム』は有名な映画だ。
夜の博物館に警備員として入った主人公。だが、その博物館では展示物の数々が夜になると命を吹き込まれ、動き出す。
でコメディあり感動ありのいい映画で、続編まである。
もちろん(?)吹き替えではなく字幕で観るのがお決まりで、コメディ映画なのもあってみなケラケラと笑っていた。
映画の上映が終わった後、その先生が締めるように話したことが印象的だった。
今君達はよく笑っていたが、人はいくら面白いものがあっても、その面白さを理解する頭がないと笑うことはできない、というものだった。
それもそうだ…と少し考えさせられたのを覚えている。
パロディなんかが最たるものだが、まず元ネタがわかっている知識が必要で、さらにそのシーンとの類似性を見抜く力がいる。そしてそれをシャレとして受け取り、笑う力。
『ナイト ミュージアム』では歴史ネタがよく出てくる。古代ローマ、西部開拓時代、セオドアだったかフランクリンだったかルーズベルトの話。
なかには『テッド』*5のボストンネタ*6のように、日本人の感覚には少し難しいものもある。
ただ、その中で笑える、というのは案外高度なことをしているのかもしれない。
ハリウッドにとっては海外の、それも文化も人種も異なる極東の中学生にすらわかる面白さはさすがハリウッド!という感じだし、翻訳や(今回は違うが)吹き替えで面白くしようとする裏方の人の仕事もまた確実に無視できないものだ。
そういえば『ナイト ミュージアム』も3はまだ観ていなかったし、今度観てみるのもいいかもしれない。
*1:全米でヒットしたスポ根コメディ映画。ナヨナヨした男とセックス依存病の男がフィギュアスケート「ペア」をやる映画。
*2:これも有名な映画。止まったマスのことが実際に起きる不思議なすごろくの話。
*3:タイムリープものの大家。主人公はタイムリープを繰り返しながら過去を変えていくが、その影響で変わってしまう未来と葛藤していく話
*4:そのトークするベイビーがブルース・ウィリスの声。この面白さがわかれば好きだと思う。
*5:テディベアがノラ・ジョーンズとセックスした設定になってるすげぇ映画
*6:アメリカンフットボールのチーム、ニューイングランド・ペイトリオッツのロブ・グロンコウスキーのネタを持ち出したりと、ボストン以外にもそれはそれはものすごい量のパロディがある